会社設立時に利用できる助成金・融資まとめ。新創業融資制度を解説

会社設立のタイミングでは「資金調達」をどう進めるかが大きな課題になります。
登記費用や資本金の準備に加え、開業後の運転資金も必要です。
そんなときに活用できるのが助成金や融資制度。
この記事では、会社設立直後に利用できる代表的な支援策や注意点をまとめました。
会社設立と資金調達の基本
会社を立ち上げる際に避けて通れないのが「お金の準備」です。
ここでは、助成金・融資の位置 づけを整理します。
なぜ助成金・
融資が重要なのか
会社設立では、登録免許税や定款認証費用だけで20〜30万円前後かかります。
さらに事務所の家賃や設備投資、人件費など運転資金も必要です。
自己資金だけで賄うのは難しいため、助成金や融資を活用することで、資金繰りを安定させられ ます。
助成金と融資の違い
| 助成金・ 補助金 |
返済不要。ただし、採択率があり申請書類の精度が求められる。 |
|---|---|
| 融資 | 返済義務あり。審査基準は厳しいが、資金調達スピードは比較的早い。 |
どちらも性質が異なるため、併用を検討するのが現実的です。
会社設立直後によく利用される制度の全体像
代表的な制度としては、
- 日本政策金融公庫の「新創業融資制度」
- 各自治体の創業助成金
- IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金
以上が挙げられます。これらを組み合わせることで、設立直後の負担を軽減できます。
会社設立で活用できる助成金・補助金

助成金・補助金は返済不要な支援制度。採択されれば大きな助けになります。
国の代表的制度
| 制度名 | 概要 |
|---|---|
| 創業助成金 | 新規事業にかかる人件費や設備投資を一部補助。 |
| IT導入補助金 | 会計ソフトやクラウドツール導入費用を補助。 |
| 持続化補助金 | 販路開拓や広告費を支援。 |
自治体ごとの支援
東京都の創業助成金は最大300万円支給されるなど、地域ごとに特色があります。
大阪・名古屋・仙台などでも創業者向けの補助制度が整備されています。
申請に必要な要件・提出書類
基本的には以下が必要です。
- 事業計画書
- 定款や登記事項証明書
- 会社実印の証明書
- 給与台帳や経費見積もり
採択されるためのポイント
補助金は「社会的意義」が重視されます。
雇用を増やす、新しいサービスを地域に提供するといった要素が採択率を高めます。
よくある失敗例
- 締切直前での提出
- 事業計画書が具体性に欠ける
- 経費計上ルールを守らない
会社設立時に利用できる融資制度
返済義務はありますが、まとまった資金調達が可能なのが融資制度です。
日本政策金融公庫の新創業融資制度
自己資金の10分の1以上があれば、無担保・無保証で最大3,000万円の融資を受けられる制度 です。金利は1〜2%台と低めで、創業者に最も使われています。
信用保証協会付き融資
金融機関から融資を受ける際、信用保証協会が保証人となる仕組みです。
金融機関にとってリスクが低いため、融資を受けやすくなります。
融資審査に必要な書類
- 事業計画書(売上・利益の予測)
- 資本金の払込証明書
- 通帳コピー(自己資金の証明)
創業期の融資成功事例と失敗事例

成功例
あるITスタートアップの創業者は、開業前から自己資金を300万円ほど貯めていました。
さらに、売上計画では「最初の半年で受注見込みの案件がいくらになるか」「どのタイミングで現 金が入るか」を数値で明確に示したのです。
結果として、金融機関から「返済原資の根拠がある」と高く評価され、希望していた創業融資を満 額近く受けることができました。
この事例のポイントは「自己資金の準備」と「数値で裏付けられた計画」でした。
失敗例
一方で、別の飲食店オーナーは資本金100万円を用意したものの、実際にはその多くが親族か ら一時的に借りた「見せ金」でした。
審査担当者に資金の出どころを確認された際に説明が曖昧になり、「形式的な資本金」と判断さ れてしまったのです。
結果、信用を失って融資は減額に…。開業後は想定より運転資金が不足し、追加融資も受けら れず資金繰りに苦しむことになりました。
これは「資本金は本当に自分が用意した資金であること」が審査で重視される点を示す典型例で す。
助成金・融資を最大限活用するための準備

制度を利用するには事前準備が重要です。
会社設立に必要な基本書類
助成金・融資どちらも、法人登記後の登記事項証明書や印鑑証明が必須です。
資本金・自己資金の準備方法
短期間だけ入金して出金する「見せ金」は厳禁。融資審査で必ずチェックされます。
事業計画書の作り方
- 売上根拠は具体的に
- 経費見積りは過小評価しない
- 最低3年分の収支予測を記載
税理士・行政書士に相談するメリット
専門家に相談することで、採択率が上がり、書類不備のリスクも減らせます。
会社設立後にやることリストと資金調達の関係
会社設立後の「やることリスト」は、単なる事務作業ではなく、融資や助成金の可否を大きく左右する重要プロセスです。
ここを軽視すると「資金調達のチャンスを逃す」「受給した助成金を返還する」といったリスクにつながります。
税務署・社会保険関連の届出と助成金・融資の連動性
法人設立届出書、青色申告の承認申請、社会保険・労働保険の加入手続きなどは、資金調達と直結しています。
- 例1:雇用関係助成金
社会保険加入が遅れたために、雇用調整助成金やキャリアアップ助成金の申請要件 を満たせず、数百万円の受給機会を失ったケースがあります。 - 例2:創業融資
法人設立届出書や源泉所得税の届出を出していないと、金融機関から「管理体制が 不十分」と評価され、審査で減額された事例もあります。
設立後の手続きは「補助金や融資の入口審査」に直結すると考えましょう。
補助金採択後の「実績報告」の落とし穴
補助金は採択されて終わりではありません。受給後に提出する「実績報告書」でミスがあると、支 給が取り消され返還を求められることもあります。
- 例:小規模事業者持続化補助金
広告費を補助対象にしていたが、領収書や契約書の保存が不十分で一部が不認定。 結果的に補助金の半分を返還することになった企業があります。
「補助金は事後の証拠管理が勝負」と心得て、日々の経理や証憑管理をルール化しておくこ とが不可欠です。
融資実行後の資金管理(運転資金・設備資金の区分管理)
融資が実行された後も注意が必要です。
金融機関は資金の「使い道」を重視するため、運転資 金と設備資金は明確に区分して管理しなければなりません。
- 良い例:運転資金で仕入れ・人件費を支払い、設備資金は店舗改装費用に限定して利 用。帳簿上も資金使途を明確に残す。
- 悪い例:設備資金の一部を代表者の生活費に流用。金融機関に指摘され、次回融資の 審査で「資金管理がずさん」と判断され信用を失った。
資金の使途管理は「次の融資につなげる信用作り」です。
会社設立後のやることリストは、税務署や社会保険への届出、補助金の実績管理、融資後の資 金区分管理といった要素が、すべて資金調達の可否に影響します。
逆に言えば、ここをきちんと押さえることで「資金調達の成功率」が飛躍的に高まるのです。
よくある質問(FAQ)

会社設立直後でも助成金は申請できる?
可能です。ただし「設立から◯カ月以内」という条件が多いため、早めの準備が必要です。
創業融資は個人事業主からでも利用できる?
はい。個人事業を始めた直後でも利用可能です。法人化前に申し込むケースもあります。
助成金と融資を同時に使うことは可能?
可能です。むしろ併用して資金計画を立てるのが一般的です。
freeeやマネーフォワードなどクラウドサービスは申請に役立つ?
経理や帳簿管理が簡単になり、事業計画の根拠を作りやすくなります。
補助金の経費管理にも便利です。
まとめ
会社設立時には、自己資金だけでなく助成金や融資を活用することで資金繰りを安定させられ ます。
- 計画的に準備する
- 専門家に相談する
- 期限を守る
この3つが成功のポイントです。














